一般社団法人ハンドメイドキャンドル協会

たどり着いたのは「支援×キャンドル」 悩みと行動力から生み出した、障害者サポートの仕組み

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たどり着いたのは「支援×キャンドル」 悩みと行動力から生み出した、障害者サポートの仕組み

たどり着いたのは「支援×キャンドル」 悩みと行動力から生み出した、障害者サポートの仕組み

2019/12/30

美しいものを自分の手で生み出せる、クラフト系の資格。しかしそれを「ただのモノづくり」に終わらせず、障害者支援に活用すべく奮闘する女性がいます。

その願いのバックボーンは、知的障害の息子さん。2019年に一念発起し、あっという間に仕組みのベースをつくり上げた彼女の、モチベーションの源泉はどこにあるのでしょうか。

働く女性の取材を続けているライターが、「一般社団法人 ハンドメイドキャンドル協会」の角尾みなこさんにお話をうかがいました。


「仕事が好き!」行動派の青春時代

角尾さんは大阪・豊中生まれ。姉といとこ姉妹の「おんなの子4人組」の中で育ち、しっかり者の同い年のいとこについて回る、ちょっと控えめな少女だったそうです。

そのまま小中高と地元で過ごした角尾さんは、高校時代に「火が付いたように」活動的になりました。アルバイトをしてみて「自分は働くことが好きなんだ」と認識、商業高校からそのまま就職しますが、「じっと座っているのは面白くない」と、事務職から早々にリタイアします。

「人と一緒にいたい。一緒に何かを共有したい」という想いが強くなった頃に通っていたのは、エステ。人とかかわり、癒される時間の素晴らしさを知った角尾さんが、「エステ業界で生きていこう!」と決断したのは、まだ20歳のときでした。

 

結婚、子育て、生まれる不安と苦悩

「でも、だんだんノルマが厳しくなって…寿退社に逃げちゃいました」と笑う角尾さん。結婚を機に、エステ業界を退きます。

専業主婦になった角尾さんを襲ったのは、事務職のときと同じ「家庭にだけこもって、じっとしているのは面白くない」という感情です。楽しく子育てをしながらも、「自分だけが世間から取り残されている感があった」といいます。

その矢先に「自宅でもエステの仕事ができる」という情報を聞き、現場の経験があるのだから、私でもできるはず!と一念発起。フランチャイズのエステティシャンとして自宅開業しました。

とはいえ、男の子ふたりを育てながらの自宅開業は、それなりに大変でした。特に次男は身体が弱く、体調不良での呼び出しや、病院通いも多かったそうです。

 

中学2年のときに、次男が「知的障害」と認定される

なんとか自宅でエステの仕事を続けていた角尾さんですが、中2になった次男が登校拒否を起こします。

本人の苦しみを身近で見つつ、学校の先生の「お母さんが甘やかしすぎ」「男の子はもっと厳しく育てた方がいい」というセリフに角尾さんも傷付き、どうしたらいいか右往左往していたとか。

転機は、カウンセラーにすすめられて訪問した心療内科でした。
そこで、次男のIQが60程度しかなく、知的障害であることが判明します。

IQ60程度ということは、知能は10歳程度。登校拒否は、ちょうど学校の友達についていけなくなった時期に起きていました。

 

子どもの成長と、未来の不安

「それを学校の先生に伝えると、手のひらを返したように対応が優しくなりました。10年程前は、知的障害という言葉も一般的ではなく、先生たちの知識も少なかったと思います」

角尾さんはそう語ります。

その後、次男は休みがちながらも中学校に通います。そして通信制の高校に進学、3年間を楽しく過ごし、職業訓練学校を卒業したのちに就職します。

「次男は友達も多く、現在は楽しく働いていますが、将来は不安です」

角尾さんの心配は、次男だけではありません。大学生の長男のメンタルも、やや不安定で、サポートは欠かせないといいます。

 

動き出した「じっとしていられない」精神

子どもふたりにかかりっきりの日々が、ちょっと落ち着いたのは2018年。たまたま出会ったハーバリウムに心惹かれた角尾さんは、自分のリラックスのために、手を動かし始めます。

「エステの仕事は肩や首に負担もかかるし、私が首の捻挫をしたそんなときに、15年自宅サロンを1人でしているが、いつまでできるだろう…と考え始めたとき、美しいものを『手でつくる』行為自体にも、癒し効果や充実感があると気付きました」

ハーバリウムをはじめ、さまざまな講座に通い出した角尾さん。子育てで自分の中に押し込めていた「じっとしてられない」精神が、むくむくと湧き上がってきます。

「はじめて女性起業家セミナーに行ってみたら、参加者の方々の向上心がすごくて…大きな影響を受けました。これは私もやってみないと、と」

 

キャンドルでひらめいた、支援の仕組み

知的障害のお子さんを抱えて四苦八苦するところから、起業家へのジャンプ。

持ち前の行動力が動き始めました。

「ジェルキャンドルに出会ったとき、仕事にできないかな…というアイデアが生まれました。ものづくりは、無になれて癒しにもつながりますし、キャンドルは自宅でもつくれます。

なによりキャンドルの炎には『1/fのゆらぎの癒し効果』があり、さらにマイナスイオンも発生し、リラックス効果ももたらしてくれます。事情があって、家に引きこもっている人たちの支援として、キャンドルを活用しようと決めました」

 

決めてからの角尾さんの行動は、スピーディーでした。

2019年に入ってから活動を始め、キャンドルについて猛勉強をしながら、同年8月には「一般社団法人 ハンドメイドキャンドル協会」を立ち上げます。

 

協会設立から5カ月の、目に見える成果

「エステティシャンの仕事はとても素敵です。ですが、障害をもつ子どもの親としてさらに世の中の役に立つためにも、障害者の支援をすべきだ、と直感しました」

そう語る角尾さん。

その結果の2019年、角尾さんの人生は大きく動き出しました。
8月の協会設立からたった5ヶ月で、認定講師は17人になろうとしています。

目標は、障害を持っている方や、その親族の方々にキャンドルづくりの情報を届けること。そして、家に引きこもっている人に「手を動かしてもらう」こと。

「早くキャンドルづくりで障害者支援の仕組みを構築したいです。つくってもらったキャンドルは、インストラクターがサポートして販売につなげ、具体的な支援にしていきたいです」

 

ミッションに共感してくれる講師たち

 「資格取得は、カラー・アロマなど女性向けの資格をお持ちの方の、追加の資格として人気があります」

特に、目に見えないサービスを提供している方には、「持ち帰ってもらえる現物をつくれる」と人気だとか。

「講師になる方には、私の想いを伝えています。身近に障害者がいなくても、『自分のやることが社会的な支援になるなら』と前向きに捉えてくださいます。このまま活動を大きく広げていきたいですね」

 

現在角尾さんは、「障害を持つ子どもの親の会」に入っています。そこで多くの親御さんの悩みを聞くたび、「一段と、障害者支援に取り組もう」との決意が、強く固まっていくそうです。

 

ライターまとめ

「2019年、一気に人生を進められたモチベーションは何ですか?」とお聞きすると、ふたつの理由が帰ってきました。

「ひとつめは尊敬する先輩のお言葉です。そのうえで今年の運気を総合的に見ると、今やるしかない!と思いました。もうひとつは人との出会いです。女性起業家のコミュニティーなどで、SNS拡散やラジオ出演などのご縁をいただき、スタートの一歩に大きな弾みがつきました。自分だけだったら、もう終わっていたと思います」

角尾さんが一般のクラフト講師と決定的に違うのは、「キレイなものが好き、癒しのために何かつくりたい」の範囲を飛び出し、「具体的な支援がしたい」という社会的目標があること。

バックボーンをお聞きすると、いかに大変な日々かが見え隠れしますが、たった数ヶ月で事業を進められる「行動力」が、これからの角尾さんとハンドメイドキャンドルの世界を、明るく照らすことでしょう。

(取材 / 執筆     本田もみじ)

 

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